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【コラム】大規模入学者選抜におけるCBT活用の可能性について

【コラム】大規模入学者選抜におけるCBT活用の可能性について

コラム

当サイトでも度々ご案内している「CBT ※1 試験」ですが、大学入試センターが取りまとめたCBTに関する報告書の内容をご紹介いたします。
大学入試の共通テストと言えば大学や高校などでの集合型の紙試験を思い浮かべるかと思いますが、以下の報告書ではCBT試験の可能性を示唆しています。
大規模入学者選抜におけるCBT活用の可能性について(報告)
【調査機関】独立行政法人大学入試センター

こちらの報告書では、共通テストのような大規模試験をCBT化するには多くの課題はあるが、
一方で小規模な試験であれば、CBTとの親和性は高いと考えられるとまとめられています。
そして、令和4年6月14日に以下の報告書が公表されました。
個別大学の入学者選抜におけるCBTの活用事例集
CBTでの「情報Ⅰ」の出題に関する調査研究について(報告)

大学入試センターでは、共通テストにおけるCBTの活用の中でも、特に「情報Ⅰ」の出題にてCBT 活用の調査研究を実施してきました。令和7年度共通テストはPBT ※2 で実施することとされていますが、これまでの調査研究の成果を大学や高等学校等で活用してもらえるよう、本報告書にまとめたとのことです。

※1…CBTとは「Computer based Testing」の略称。パソコンを使用して受験する試験。
※2…PBTとは「Paper Based Testing」の略称。マークシートなどの紙ベースによる全国一斉試験形式。


本コラムでは、これら3つの報告書の本文を一部抜粋し、共通テストや個別大学の入学者選抜におけるCBT活用に関する調査研究内容をご紹介いたします。

1.大規模入学者選抜におけるCBT活用の可能性について(報告)

PBTでの実施に伴う課題と、共通テストにおいてCBTを活用した場合の改善点
①出題・解答形式に制約がある→ パソコン上で出題・解答することで,多様なニーズに対応できる②問題冊子・解答用紙等の印刷,輸送・保管,配付・回収しての実施→ 電子データにより試験問題・解答を配信・回収できる
③ 試験問題は1バージョンのみで同一時刻一斉実施が必須→ 試験問題を複数バージョン用意して複数回実施ができる

CBTを活用するための課題
①試験場の設定,試験実施に関わる業務
②ハードウェアの整備
③ソフトウェアの開発
④試験実施時のトラブルへの対応
⑤本人確認・不正防止策
⑥障害等のある受験者への配慮
⑦経費
⑧対象科目(1科目から導入するか全面移行か)
⑨試験日時
⑩受験者や保護者を含む社会全体の理解と習熟

総括
このように、全国的に均質で質の高い受験環境(パソコンやネットワーク等)の確保・トラブル等が生じた場合の対応体制の構築・新しい試験の在り方に対する受験者や保護者を含む社会全体の理解などについて、細やかな検討が必要と言えます。共通テストのような大規模試験をCBT化するには多くの課題はありますが、一方で小規模な試験であれば、CBTとの親和性は高いと考えらえます。


2.個別大学の入学者選抜におけるCBTの活用事例集

令和3年度入学者選抜において7大学がCBTを活用
問いたい力を問うため、実践面でのメリットが大きいため、試験を実施する上でPBTよりCBTのほうがメリットが大きいという理由も挙げられた。
例:英語スピーキング試験実施の際、大量受験が可能で、かつ解答データの収集が容易

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策として、受験者が来学しなくても受験できるようCBTを導入したという理由も挙げられた。

大学の他、テストセンターや自宅でも試験を実施
試験会場は
(1)大学の情報教育施設
(2)大学の普通教室
(3)テストセンター
(4)自宅等の任意の場所
で実施しました。課題もありつつ、試験実施に向けて様々な工夫がされています。


3.CBTでの「情報Ⅰ」の出題に関する調査研究について(報告)

「情報Ⅰ」を出題するための CBT システムに関する調査研究
情報分野にはプログラミングの力などPBTでは評価しにくいものがあった。そこで、出題できる設問の幅を広げて問いたい力を問えるようにするため、CBTを前提として検討が進められ、「情報Ⅰ」を出題するためのCBTシステムに関する調査を行っている。
将来的なシステム開発に向けて、試験問題蓄積・管理システム構想・体制など様々な観点での研究開発が進められている。


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今後、どのような調査研究が進むか興味深いですね。一部大学でCBT試験の個別導入が進むにつれ、不正検知システムなど精度の高いシステム開発が私たちの資格試験にも大きく影響するかもしれません。
進展がありましたらご紹介していきますね!
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